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にゅうせんしゅよう

犬と猫の乳腺腫瘍

犬の乳腺腫瘍

犬の乳腺腫瘍のイラスト

犬の乳腺腫瘍は、女の子の犬で最も一般的な腫瘍の一つです。
乳腺、つまりお腹の乳首の周りにできる「しこり」や「かたまり」のことです。
視診と触診だけは、良性か悪性かは確定できず、一般的には約50%が良性、約50%が悪性です。
ただし、しこりが急激に大きくなったり、いびつな形、赤み、自壊、出血、腐敗、触ると痛みを呈すなどしている場合は、悪性の炎症性乳癌が強く疑われます。
【 検 査 】
身体検査
まず、直接触って確認します。
しこりの状態の確認:しこりの大きさ、硬さ、形、そして周りの組織から動くかどうかなどを調べます。
リンパ節の触診
乳腺の近くにあるリンパ節(わきの下や足の付け根など)が腫れていないかを確認します。
細胞診
注射器の細い針をしこりに刺し、少量の細胞を採取します。
(省略することもあります)
血液検査
手術を行う前の健康チェックとして行います。また麻酔に耐えられる健康状態であるか、貧血や臓器の機能に問題がないかなどを調べます。
画像診断
腫瘍が体の他の場所に転移していないかを確認するために行います。
・胸部レントゲン検査
肺への転移を調べるために必須の検査です。悪性の場合、肺に転移することが多いため、手術前に必ず行われます。
・腹部超音波検査
お腹の中のリンパ節や、肝臓、脾臓などの臓器に転移がないかを調べます。
病理組織検査
これは、最も重要で、確定診断に不可欠な検査です。
外科手術で摘出した腫瘍全体を病理検査機関に送り、顕微鏡で詳細に調べてもらいます。
良性か悪性かの確定診断:最終的な診断名が分かります。
悪性度:悪性である場合、その悪性度(グレード)が分かります。
切除範囲の評価:手術で腫瘍が完全に切除されたかどうか(マージンが確保されているか)が分かります。
【 治 療 】
外科手術:治療の第一選択です。
腫瘤の大きさや数、転移の有無に応じて、腫瘤のみの切除から広範囲な切除(片側乳腺全摘出術)までが選択されます。
化学療法・放射線療法:悪性度が高い腫瘍や転移が見られる場合、または手術が難しい場合に、補助療法として検討されます。
【 予 後 】
腫瘍サイズと悪性度:犬の乳腺腫瘍の予後因子として腫瘍サイズが改めて重要視されています。
直径1.5cm未満の腫瘍は、非腫瘍性または良性である可能性が高く、予後良好と関連しています。
一方、直径1.5cm~3cmの腫瘍は悪性である可能性が高く、グレードII・IIIやリンパ節転移を伴うことが多くなります。
病理組織型:炎症性乳癌は非常に悪性度が高く、予後は不良です。
【 予 防 】
早期の避妊手術が最も効果的な予防策であることに変わりありません。初回発情前の避妊手術で、乳腺腫瘍の発生リスクを99.5%に抑えることができます。
 
猫の乳腺腫瘍

猫の乳腺腫瘍のイラスト

猫の乳腺腫瘍は、そのほとんどが悪性です(約80-90%)。
悪性のほとんどが腺癌であり、局所への浸潤性や転移性が高いです。
また進行が速いです。
そのため、猫の乳腺腫瘍は、早期発見・早期治療がとても重要です。
避妊していない子に多く見られます。
【 検 査 】
上記の犬の乳腺腫瘍を参照。
【 治 療 】
外科手術:治療の第一選択であり、最も重要な治療法です。広範囲な切除(乳腺全摘出術や連鎖する乳腺の切除)が推奨されます。
化学療法:手術後の補助療法として行われることがあり、特に腫瘍のサイズが大きい場合や、リンパ節転移がある場合に検討されます。
放射線療法:手術と組み合わせることで局所再発を抑制する目的で利用されます。
【 予 後 】
予後は、腫瘍の大きさとリンパ節転移の有無に大きく左右されます。
腫瘍の直径が2cm以下の場合は、1年以上の生存期間が期待できます。
2cmを超える場合や、リンパ節転移が見られる場合、予後は不良となります。
猫の乳腺腫瘍は悪性度が高いため、再発や転移のリスクが高いことを理解しておく必要があります。
【 予 防 】
早期の避妊手術が最も効果的です。
初回発情前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発生リスクを大幅に減らすことができます。
 
当院では、乳腺腫瘍の手術の他、避妊手術を腹腔鏡補助下で行うことができます。

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