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脾臓の腫瘤

脾臓の位置の写真
脾臓にできた腫瘤は、そのまま放置すると腫瘤から出血し貧血になったり、そのまま血が止まらなくなると死に至ることがあります。
また腫瘤が大きくなると胃や腸を圧迫して、食欲が落ちるなど生活の質が著しく低下します。
 
【 症 状 】
腫瘤の種類やサイズ、出血の有無によって異なります。
非特異的: 食欲不振、体重減少、活動性の低下。
急性: 腫瘤が破裂した場合、腹腔内出血により虚脱、呼吸困難、粘膜蒼白、腹部膨満などの緊急症状が見られます。これらの症状はショック状態を示唆しています。
慢性: 貧血、腹部腫大、触診時の腹部不快感。
ただし、病変が小さい時は、症状がみられないことも多々あります。
 
【 腫瘤の種類 】
良性なもの:結節性過形成、髄外脂肪腫、血腫、血栓症、梗塞、うっ血、髄外造血、膿瘍、捻転など
悪性なもの:血管肉腫(けっかんにくしゅ)、神経内分泌癌、肉腫、リンパ腫、肥満細胞腫、など
 
【 診 断 】
初期の場合は、無症状のことが多く、一般身体検査の触診やレントゲン検査では、わからないことがあります。
健康診断などの超音波検査で偶発的に発見されることがほとんどです。
そして腫瘤の増大が進行すると、お腹が張ってきたり、胃や腸を圧迫して食欲が落ちたりします。
何らかの刺激や圧で、脾臓の腫瘤部分から出血し、貧血やショック状態に陥ることもあります。
また悪性の場合は、不整脈が出ることもあります。
腫瘍の良性・悪性の判断は経過や症状や超音波検査だけでは、確定できないことがあります。
確定診断には脾臓を手術で摘出し、病理組織学検査(外部委託)が必要となります。
 
【 治 療 】
腫瘤が良性・悪性にかかわらず、治療方法は手術が第一選択になります。
大きな腫瘤によるお腹の臓器の圧迫を改善するため、
そして腫瘤からの出血予防または出血を止めるためには手術以外の方法は現時点ではありません。
既に貧血を呈している場合は、輸血が必要なこともあります。
悪性なものであった場合は、抗がん剤や免疫療法などの追加治療が必要となります。
 
 
【 予 後 】
腫瘤の種類と転移の有無に大きく左右されます。
良性腫瘍 (血管腫、結節性過形成など): 脾臓摘出により完治が期待できます。
予後は非常に良好です。
悪性腫瘍 (血管肉腫など): 脾臓摘出単独での平均生存期間は2〜3か月と短いです。
脾臓摘出術と化学療法を組み合わせることで、平均生存期間を6〜9か月に延長できる場合があります。
転移がすでに存在する場合、予後は非常に不良です。
摘出後の余命は短く、早ければ2週間以内に、長くても1年以内にほとんどの子が亡くなってしまうのが現状です。
 
当院では、脾臓摘出時に手術時間短縮、不必要な糸を体内に残さないようにするため、かつ安全な血管処理を行うなために、 超音波&高周波エネルギーデバイス(THUNDERBEAT)を使用しています。
従来の縫合糸による血管結紮、血管シーリングシステムを使用していた頃と比較し、より短時間でより安全に脾臓の摘出が可能となりました。
 
サンダービート